地域づくり部会主催の「地域づくり講演会」が2月18日に八幡自治会館でありました。講師は、九重町野倉地区在住の「村上明日美」さんでした。
講師の村上さんは昭和61年生まれでまだ若い。山口県宇部市生まれで、東京農大を卒業後、食品関連の商社に就職。仕事で別府市を訪れたのを機に2013年別府にそのまま移住し、新規就農。もともと、農業とは無縁の宇部市の海の近くで生まれ育ち、農業経験はゼロ。
別府市の畑を借りて最初に作ったのはラディッシュ(二十日大根)。無農薬栽培を目指すも、虫にやられ、生育もままならずなど大失敗を繰り返す。東京にも出荷を試みたが、鮮度落ちでそれもダメに。
別府の借りた畑は、古田(こでん)のため、車も、トラクターも入れないし、倉庫もない状態。そこで倉庫やトラクターのある日出町の農地を2016年に借りる。この時期に6次産業化を始めて、黒ニンジンなどを栽培し、加工・販売。
柚子こしょうや桑のジャム、庄内梨のジャム、ミツバチのハチミツ、柿渋染め、竹細工など、農家とコラボして、一緒に活動をする楽しみを覚える。自然の中でのランチなどで、非日常のご自身に気づかされる。
また、県内をいろいろ見て回り県内の仲間も広がっていく。このとき九重町の野倉集落に出会うことで、野倉地区の人々の心の温かさに触れる。
2017年に野倉の家を買い、九重町の補助金を活用し家をリフォーム。翌年別府の家を引き払い野倉に住み始めて、「生き残る里山づくり」に挑戦し、屋号の「あすみ農園」を経営。
野倉地区は、高齢化率77%、人口22人の集落で、いい感じの里山観にほれる。
そこで、自然薯(じねんじょ)を栽培。今年で4年目となるが、最初は基本に忠実で大成功を収めるも、2年目は自身のアレンジを加えたために大失敗。3年目は基本に戻ったためにまあまあ採れる。
販売は、会社勤めで「売る」プロモーションには長けていることから、それを活用したりして福岡市で販売。
九州一の広さともいわれるミツマタの群生地がある野倉集落では、「野倉活性化協議会」にも参加し積極的に活躍。
「誰かにとって必要とされていれば、生き残ることができる」をモットーに、「年間を通じて体験できる里山ツーリズムメニュー」で豊かな自然環境を生かした高付加価値農業に取り組んでいる。
今は、情報化社会で情報に満ち溢れていることから、人の流れとかが幅広くなっていることで、村上さんとしては、農業で生産した農産物を加工して販売する6次産業で儲けて、+4次産業(農業+教育、農業+観光)の10次産業を目指しているが、村上さん自身は、+4次はやや控えめにすることで訪れる人が多くなり過ぎて陳腐な観光地になることを懸念している。
村上さんは、若いエネルギーに満ちあふれていて、長年農業をやっている農家の方式とは全く違う新鮮な感覚の発想力をもって農業に取り組んでいて、それを生かした発信力、販売力もあり、大いに今後が期待されます。講演の参加者の方々は、帰り際「いい話が今日は聴けた」と口にして帰途につきました。