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 11月29日に八幡人権教育推進協議会(後藤梅男会長)は、福岡県筑紫野市の京町隣保館で人権研修を行いました。

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 今年8月にメルサンホールで行われた「玖珠町人権を守る町民のつどい」の研修講師の長野健一さんの講演内容が強く心に響いたことから、再度現地で講師のお話をじっくりと聴かせていただきました。今回の参加者は18名でした。

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 部落差別は「寝た子を起こすな」とか「もうなくなったのでは」「自分には関係ない」とかも言われていますが、現実は残念ながらまだまだ心の深層にあるのか、今でも何かの時にふっと差別事象が発生します。決して同和問題は過去のことではありません。

 この差別事象が起こると、差別を受けた側は根深く心を傷つけられます。ましてや子どもにとってはなおさらです。

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 今回研修を受けた会場である京町隣保館は、2018年(平成30年)にその隣保館の階段の壁に「エタ」などの差別用語や「死ね」などがたくさん書かれた「差別落書き」事件が発生しています。当時それを見た小学3年生の女子児童が「私たち、どうして死ななければいけないの」と言って泣いたり言葉を失ったりしました。その親は「ごめんね。私の子どもで生まれなかったら、差別されなかったかもしれない」と唇をかみ、こぶしが震えるほどに、その子を思い、わが身を責めました。6年前のことです。

 落書きは早く消してしまい、早く忘れてしまいたいところですが、その隣保館は「消すことや忘れることは解決でない」としてわざとそのままにしておきましたが、3年後みんなで話し合い地域の「子ども祭」の時に親子で一緒に怒りに涙を流しながら消しています。

 今年の6月に行われた「筑紫野地区差別事件学習報告会」で500人の聴衆の前で一人の高校生が全国新聞コンクールで優秀賞に輝いた部落差別をテーマにした作文の朗読が行われました。その朗読の内容も「差別落書き」に触れた素晴らしい内容で聴衆を引きつけましたが、その朗読の後に同じ舞台に高校生5人が立ち発表しました。その高校生は「差別落書き」で6年前に涙した当時小学3年生の女の子たちです。1日足りとも癒えることのなかった傷や小学3年生の時涙した「差別落書き」を乗り越えようとするそれぞれの発表でした。500人の聴衆の視線の前に勇気をもっての発表でした。会場からは感動し涙ながらに大きな拍手が送られたようです。

 部落差別は本当に厳しいものがあり、差別された側は人の生きる意欲をも奪うし、人間関係も切ってしまうこともあると言われています。

 その高校生の作文では、「差別は間違いなく人間が作り出したものであるから、必ず人間の力で根絶できると強く信じている」と結んでいます。

 私たちは、同和問題について無知でいることはできません。同和問題の解決のためにはこの問題を学習や研修会に参加するなどして正しく知ることや、自分のこととして考えることが部落差別の根絶に向けて何よりも大切です。